境界の定義

 境界とは一筆と一筆の土地の境をいい、利用し得る土地の範囲を画して客観的に定まっているものです。我が国では古く「続日本紀」の中に境界の文字が土地のさかいの意味で使われていますが、当時は地番制度がなく、一筆という土地の表示はありません。地番制度ができたのは、明治以後の地籍調査からです。
 民法の第209条〔隣地立入権〕と第223条〔界標設置権〕に疆界の文字が使用されていますが、現今の当用漢字にはなく大審院判例等には経界と記載されていますが、これも境界と同意語です。
 地番は上記のとおり、地籍調査により設けられ、当時の大字または村をもって一区域とし、区域ごとに人為的に無数の線をひいて区画を設け、区画ごとに1番から順次設定され、各地番の土地を筆と呼称されるようになりました。不動産登記法第18条〔地図及び建物所在図の作製〕に「地図ハ一筆又ハ散策ノ土地毎二之ヲ作製スルモノトシ、各筆ノ土地ノ区画及ビ地番ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」と規定されています。
 一地番の土地、つまり、一区画の土地を一筆と呼称されるようになったのも明治以後のことで、地籍調査の際の検地帳に、その場所、地目、地積、所有者などを毛筆により、一行に書き下したところから、このようにいわれるようになったものです。
 土地の地番と地番との境界は公法上のもので明治以後確定されたものであるから、両隣接当事者の意向で左右することはできない性質のものです。
 しかし、両当事者間に争いがある場合、双方の土地所有権の限界について当事者が合意することは何等差支えません。

スポンサーリンク

 境界の査定とは一般に金額、等級などを、とりしらべて決定することと定義されていますが、ここでは境界の確認を要する場合、当該場所に関係人が立会の上、境界を調査決定することをいい、関係人とは境界の隣接する双方の所有者、管理人等の当事者または測量技術者や古老等の第三者をも包括します。ただし査定の効力、権限を有する者は、当事者またはその権限について委任を受けた者に限られます。
 査定の実施にあたっては民間においては文書または口頭で立会の依頼を行い、民地と官公有地の境界については通常官民境界査定願等を提出することによって行われます。
 鑑定とは一般に物の真偽、善悪などを見定めること、いわゆる、めききと定義されていますが、ここでは裁判所から指示された事項について裁判官の知識、経験を補充するため、学識経験ある第三者がその判断を陳述、報告することをいい、この報告を命ぜられた者を鑑定人といいます。そこで鑑定の対象になるのは種々雑多なものがあり、境界の鑑定のほか、土地、建物の価格、賃料、人の精神や身体の状況、筆跡等さまざまな事項があります。従って、鑑定人としても、不動産鑑定士、医師、心理学者、エンジ二ア、コンサルタント、その他いろいろな方面の専門家が活用されています。
 鑑定人は法廷において、良心に従い誠実に鑑定することを宣誓しなければならず、また鑑定の結果は必らず書面で裁判所に報告することとされています。
 なお、確定とは一般に確かにきまること、すなわち定まって変動しないことと定義されていますが、ここでは用語の取扱上、裁判所が原告、被告両当事者に代って、不明な境界を明らかに決定する行為をいい、この場合両当事者の主張する境界線に必ずしもとらわれることなく、自ら真実と認める所に従って、境界線を定むべきものとされています。

不動産

境界の定義/ 境界紛争の原因/ 裁判所の境界確定基準/ 境界の標識/ 民法の境界に関する相隣関係/ 境界調査のための必要資料/ 公図とは/ 公図利用上の留意点/ 公図に基づく境界鑑定の重要性/ 境界の立会/ 境界調査の方法/ 宅地や田畑の境界調査/ 道路・水路の境界調査/ 国土調査法による境界調査/ 市町村の境界調査/ 境界紛争の予防法/ 宅地・農地の境界紛争の予防/ 境界紛争の解決法/ 境界紛争での裁判制度の活用/ 土地区画整理事業による境界紛争の解決法/ 公図分析法/ 公図分析の基点法、距離法、面積法/ 物証法による境界確定/ 人証法による境界確定/ 境界鑑定の手順/ 境界鑑定手法の適用/