区分所有権の所有関係

区分所有の対象である建物は、専有部分と共用部分とに分けられます。区分所有権の目的である建物の部分を専有部分といいます。専有部分は、各区分所有者の単独所有に属し、この所有権を区分所有権といいます。これに関する権利の変動は、民法の原則によることになります。区分所有者相互の関係において、占有部分の範囲が問題となります。つまり専有部分相互間にある壁、床、天井や柱、あるいは専有部分と共用部分との間にあるそれらをどのように考えるかが問題です。本法施行前においては、民法二○八条を適用した関係上、専有部分相互の障壁は、一般に共用部分に当たると考えられていました。このような解釈がなされたのは、主として棟割長屋の区分所有の場合を前提としたからであると思われます。もっとも、本法施行前においても、ビルディングの区分所有については壁の厚さの中央まで専有部分とする見解がありました。本法施行後において、専有部分の範囲をどう考えるか問題です。まず、第一に、壁、床、天井、柱など隔壁を、従来の通説に従い、すべて共用部分であるとするこの見解に対しては、ビルディングの一室が一個の専有部分である場合には、区分所有権の客体としては空間以外なにも残らないことになり、建物の一部に区分所有権を認める本法の構成と相容れなくなるという批判がなされています。第二には、いわゆる壁真といわれる障壁の厚さの中央まで専有部分であるとする考え方があります。この考え方は、課税の標準となる坪数を確定するということからは妥当といえますが、その管理維持の面においては、本法の適用上問題が残されているように思われます。第三に、その中央の部分は、共用部分ですが、上塗りの部分は専有部分であるとする考え方があります。第四に、専有都分相互間の障壁には、その上塗りの部分は別として、区分所有者間における管理維持の関係ではこれを共有部分として取扱い、外部関係つまり第三者に対する関係においては、その厚さの中央部分をもって専有都分の境界とみるべきであるとする見解があります。つまり、外部に対する関係では第二説、内部の関係では第三説の立場をとるというのです。専有部分の範囲を決めるについては、障壁などは区分所有者全員の利益のために管理維持されるべき面と、区分所有者個人の利益のために管理維持されるべき面との両面が存するため、その範囲を機械的、両一的に定めるのは妥当ではありません。むしろ、その範囲は、区分所有者全員の利益のために管理維持されていくものかどうかなどを基準にして、相対的に定められていくべきものです。

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なお、建物の安全や外観を維持するために必要な支柱、耐力壁、屋根などの建物の基本的構造部分については、これを法定共用部分と解するのが妥当です。
区分所有の建物のうち、専有部分を除いた残りの部分を共用部分といいます。共用部分には、その性質により法律上当然に共用部分になるものと、区分所有者が本法三条二項の規定に基づいて規約により共用都分となるものがあります。前者を法定共用部分、後者を規約共用部分といいます。
法定共用部分は、法文に示されている専有部分に通じる廊下、階段室のほか、専有部分に通じる玄関、ロビー、エレベーター室など、建物の構造上区分所有者全員またはその一部の共用に供される建物の部分です。また、専有部分相互間の障壁など内部関係において共用部分と解すべきことは前述したとおりです。これらの建物の部分は、本来区分所有権の目的とすることができないものであるため、法律上当然共用部分となるのです。専有部分に属しない建物の付属物もまたすべて法律上当然に共用都分となります。ここに建物の付属物とは、例えば電気の配線、ガス、水道の配管、冷暖房の設備などのように、建物に附属し、利用上効用上その建物と一体的関係にある物をいいます。一例をあげれば、マンションの水道の配管については、いわゆるメインバイプの部分がこれに当たるわけです。また、共用の便所、洗面所、湯沸室、電気室などのように、形式上は独立の部屋であっても、区分所有者によって共同に利用されるように作られているものも、同様に共用部分と解されています。受付の窓口のある管理室も、同様に共用部分と解すべきです。
規約共用部分は本法三条二項により規約により共用部分としたものです。例えば区分所有者全員のために共同の集会室や応接室を作り、それを規約により共用部分としたような場合です。また、車庫や物置のように、区分所有されている建物に対して従属的な関係にある建物も、規約によって共用部分とすることができます。建物の部分または附属の建物を共用部分とするには、規約で共用部分とする旨を定めるだけで足りますが、必要に応じて、次の事項を定めることができます。共用すべき区分所有者の範囲、共用都分の管理所有者、共用部分の使用目的、共用都分に対する各区分所有者の共有持分の割合、その他、などです。
民法二○八条は、建物の共用部分は、各区分所有者の共有に属するものと推定していましたが、本法は、一部の区分所有者のみの共用に供されることが明らかな共用部分についてはそれらの区分所有者、その他のものについては区分所有者全員の共有に属するものとした民法二○八条の共有規定と本法の共有規定との著しい差異は、後者においては、持分処分の自由が制限され分割請求の自由が否定されている点です。その結果、共用部分の「共有」は、いわゆる共有でなくて、合有であるというように説く学説もあります。要は、区分所有者間に、共同の目的による主体的合手的共同関係があり、その物権法的反射として、共用部分の「共有」持分の処分が制限され、分割請求が禁じられているかどうかを手がかりとして判断すべきです。本法は、建物の保存、管理、使用や建物使用に関する規約、集会などについて、区分所有者間に、かなり団体的既成を受ける強い共同関係が成立することがあることを予定しています。共用部分が区分所有者の共有に属する場合には、各自の共有持分は、規約があればその定めによりますが、そうでない場合には、各自の有する専有部分の床面積の割合によります。一部の区分所有者のみの共用に供されるべき共用部分で床面積を有するものがある場合には、これを共用すべき各区分所有者の専用部分の割合により配分して、それぞれの区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとしています。区分所有者が共用部分に対して有する共有持分は、その区分所有者たる地位に基づき有するものであるとともに、その区分所有者の専有部分と不可分の関係にあるものであるため、その専有都分を処分したときには、共有持分もともに処分されたことになります。また、共有持分を専有部分と分離して処分することもできません。したがって共用部分に関する権利の変動は、区分所有権の登記によって知るようになります。かくして、本法は、共用部分については、共有者の氏名、持分の割合、その処分などについては一切の登記を要しないものとし、手続の簡略化を図りました。なお、前述したように、建物の部分または付属の建物を規約により共用部分としたときは、区分所有者は、その旨を登記しなければ第三者に対抗できないとしました。

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