不動産と動産の違い

不動産とは、土地とその定着物をいいます。土地は、地表を中心としたある範囲の場所のことで、この土地を構成している土砂とは別の観念です。だからある土地から土砂を運び出しても土地は減ることがありません。しかし、土砂には土地の組成物として土地所有権の効力が及ぶし、同様に、石垣、排水溝、橋梁のような工作物も、これを取りはずして別個に処分するなどの特別な場合でないかぎり、土地の構成物として土地と一体に扱われます。ただし、地中の鉱物や温泉は土地から区別されています。
 土地の定着物は、建物やテレビ塔のように、取引観念上土地の一部とは扱われませんが、土地に固定的に付着して容易に移動しえずに利用するものをいいます。しかし、樹木、草、石などは、とくに土地と別個のものとして扱わないかぎり、通常は土地の一部とされます。建物は、個々の木材その他の材料が組み立てられてできていますが、屋根が葺かれ荒壁がつけられれば、床や天井がなくても建物になるとされていいます。
 物で不動産といえないものは、すべて動産とされます。したがって、机、椅子、ノート、木、自動車、電車、航空機をはじめ船舶も動産です。不動産と動産とでは、その上に成立しうる権利の種類や登記を必要とするしないなどの公示方法、この公示方法を信頼して取引した者への保護の有無、裁判になった場合の裁判所の管轄など、取引に関する重要な点について取扱がちがっているので、この区別はかなり大切です。

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同じ不動産ではあっても、土地と建物は別の不動産であって、両者をまとめて一つの不動産や物とすることは、特別の手続、工場財団、鉱業財団、鉄道財団等の財団登記をするなどをふまないかぎりできません。したがって、この土に成立する所有権も別別で、土地の所有権は建物を含まないし、建物の所有権は土地には及びません。また、土地と建物は、登記簿も別で、土地の登記簿をみても建物の存否やその権利関係はわからないし、建物の登記簿を調べてもその敷地の利用関係がどうなっているかはわかりません。
 とはいえ、このことは、土地と建物を一括して売買の対象とすることができないというわけではありません。建物付き土地の売買は、しばしばみられる取引形式です。ただ、この場合でも、法律的には土地と建物の二個の不動産、それぞれの所有権が取引されているわけであって、それを便宜上一個の契約にまとめているに過ぎないということです。したがって、ときには、一個の契約で取引をしていても当事者の意思に反して法律関係が土地と建物につき別々に発展してしまうことがあります。たとえば、建物だけに工事上の欠陥があってその責任問題が生じたり(担保責任)、売主が土地・建物の引渡をすませない間に建物が隣家からの出火で焼失してしまった場合(危険負担)には、建物の売買についてのみ厄介な法律問題が生じます。そこで、こうした将来のことを考えれば、土地と建物を一括して売買する場合には、この二つの法律関係が分離しても混乱することのないように、売買代金などは別々に示しておくような配慮が望ましい。
 また、建物は、たとえ土地とは別の財産とされていても、敷地の使用権をともなっていないと敷地上に維持しておくことができないわけで、土地の所有者から建物を収去するように求められることになるから、このような建物の財産としての価値はきわめて小さい。そして、建物の所有者は建物を自由に売却できるが、その敷地が賃借権である場合には、賃借権の譲渡は地主の承諾なくしてはできないこととなっているため、建物の売却は実際上大きな制約をうけ、財産としての価値が圧迫されています。そこで、借地法は、こうした建物所有者の建物譲渡を容易にするため、裁判所が賃借権譲渡の許可を与える途を開きました。

不動産

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