債務不履行

不動産売買は、双務契約であってその効力としては、当事者は互いに債務を負担するところの対価的関係にあるとともに、債権を取得します。売主は、売買の不動産を買主に完全に譲り渡す義務を負い、買主は、一定の代金支払いの義務を負うこととなります。また、売買は有償契約であって、売主の財産権の移転による出損に対しては、買主は、代金支払いによる出損をすることになっています。したがって売主も買主も債務の本旨に従って義務の履行をしなげればならないことが、一般的に要求されており、売主もしくは買主のいずれの場合においても履行されない場合においては、義務不履行の間題が生ずることになります。また売主の移転する目的物に不完全な場合があれば、両当事者の給付の等価的均衡を得せしめるために、その不完全な点について売主に担保責任を負わす必要があります。このようにして買主を保護するのでなければ、人々は安心して土地や建物を買い、代金を支払うことがでぎなくなるばがりでなく、一般的に売買取引というものの信用を維持することもできなくなる恐れがあるからです。

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売主の義務不履行は、目的物を譲り渡す義務の不履行が基本的なものとなりますが、そればかりでなく、目的物の占有を移転しないことのほかに、有効に財産権そのものを移転しないことも当然に含まれます。不動産のような特定物の売買にあたっては民法では、一七六条の規定があるために、所有権移転については、売主と買主との意思が一致して売買契約が成立すれば、当事者間では直ちに所有権が移転するものと考えられます。このかぎりにおいては、売主の所有権移転の義務不履行が生ずる余地はないこととなります。それは、所有権の移転そのものが、特別の行為を必要としない観念的な事柄なので、売買契約が売主による義務不履行として実際に間題となるのは、むしろ、不動産についての所有権移転の登記と目的物の引渡しの不履行です。
売買の目的物である不動産の所有権移転は、売主と買主という両当事者間の関係においてになります。その買主が取得した不動産の所有権を売主以外の第三者に対抗するためには、登記という対抗要件を備えていることが必要であって、売主は、買主が何人に対しても対抗できるための登記をする義務を負っているにもかかわらず、この登記を怠る場合のことです。
売買の目的物が不動産の場合には、所有権移転登記だけでは、買主が現実にその不動産を利用することはできないために、移転登記のほかに引渡しをしなければ、売主の買主に対して負担する義務は完全に履行されたことにはなりません。民法五五五条に規定する財産権の移転のなかには、売主が目的物を買主に引渡しすることのほかに、所有権移転の登記をするなど、目的不動産の完全な移転のために必要な行為の全てが含まれているのであって、その一つが履行されなくとも、売主の買主に対する義務不履行が生ずることになるのです。不動産のような特定牧の売買の場合においては、売主は目的物保管の義務、引渡しを完了するまでは、売主は善良な管理者としての注意をもって、その目的物を保管する義務を負っています。このことは所有権移転の時期とは関係なく、売り渡した以上は、これだけの注意を払わなければならないものであって、売主がこの注意義務を怠って、売買の目的物、建物などを滅失したり、または毀損した場合には、売主の義務不履行となってその責任を負うことになるのです。
売買契約における買主もまた、売主の所有する目的不動産の所有権移転の義務と対価的な関係にたっている義務として、一定の代金支払いの義務を負っています。これは買主が売主に対して負担する基本的義務であって、代金支払いについての義務は、いわゆる金銭債務であるために、この金銭の支払いがなげればこれは買主の義務不履行ということになるのです。また、買主は、目的不動産の占有移転があったときから、代金の利息を支払う義務を負担するものであるために、この支払いがなげれば当然の結果として、売主に対する買主の義務不属行が生ずることになるのです。

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