未完成物件

買主は建物が建売分譲住宅かマンションか、その敷地との関係がどうなっているか、その所在地や局囲の環境、さらに買主、売主双方の側における特殊事情や人的関係、などの一切の事情を考慮して、結局は、あくまでも完成した建物を入手すぺきか、それを断念して損害賠償で甘んずるか、どちらかに決めることになります。その際にとりうる法的手段の概略は次のとおりになります。
売主が入居予定日が過ぎているにもかかわらず、その責めに帰すべき事由により、まだ建物を完成していなければ、買主はまず、相当の期問を定めてその期間内に完成するように催告し、同時に、完成が遅延したために生じた損害の賠債を請求することができます。そして売主が前記の催告期間内に完成せず、しかも完成しようとする誠意がまったくない場合には、買主は代替執行により、第三者をして建物を完成させ、それに要した費用を売主から取り立て、あわせて延滞賠償を請求することもでき、契約を解除して契約成立以前の状態に復せしめ、なお被った損害の賠償を請求することもできます。さらに代替執行も契約の解除もせずに、建物にかわる全部の損害の賠償を請求することもできます。また入居予定日が到乗する以前でも、たとえば売主が破産するなどして、入居日までに建物を完成する可能性がまったくなくなれば、買主は、売主の履行不能を理由に契約を解除せずとも建物にかわる慎補賠償を請求でき、解除して損害賠償を請求することもできます。建物の完成を遅延し、もしくは完成できなくなった売主は、不可抗力など自分の貴めに帰すことのできない事由に基づくことを挙証しないかぎり、責任を免れることはできません。
売主が建物を完成させない場合には、買主はまず、売主を訴えて約束どおり完成せよという確定判決をもらいます。それでも任意に履行しない時は、この判決にもとづいて、裁判所に対し、売主の費用で第三者に完成してもらう権限を与えてくれるように申し立てることができます。裁判所は、民法四一四条二項本文の現定に従って、買主の申立てによる授権の決定をしてくれ、建物の完成は売主でなければできないものではなく、設計図によって他人がかわってすることのできる代替的作為債務であるら、その強制執行として、債務者の費用で他人に替わってやらせるという代替執行が認められているのです。買主は、この裁判で措定された第三者、または指定のないときは任意の第三者と建築請負契約を結び、その際の材料費や請負の報酬をこの第三者に支払うことになりますが、あとで売主にその償還を請求することができます。買主は裁判所に申し立てて、この費用額の前払いを売主に命ずる決定をしてもらえる前払いを命ずる裁判があったのに、売主が前払いをしてくれないときは、買主は、この裁判を債務名義として、売主の一般財産に対し強制執行することができます。売主の前払額が実際にかかった費用よりも多かったときは、買主はその超過分を売主に返還しなければなりません。逆に実際にかかった費用よりも少なかったときは、買主はその分を売主に請求することができます。

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