土地の一部が他人の場合

売買の目的となった土地の一部が他人の所有であった場合には、契約そのものは有効であり、売主はこれを取得して買主に移転する義務を負うことになります。売買契約は一応履行されていますが、暇疵のため不完全履行の状態になっていることになります。未履行部分が契約の時すでに不能であろうと、後発的不能であろうとも権利の一部が他人に属する場合に該当するとするのが判例です。売主が不足部分を取得できない場合には売主は権利の欠陥による暇疵担保責任を負うこととなります。
目的物に数量不足、あるいは物の一部滅失がある場合に、用益的権利等に制限のある場合、用益権によって追奪される場合は、いずれも売主の責めに帰すべき事由による債務不履行の場合であり、法定の壊疵担保責任と競合すると考えるのが妥当です。したがって土地の一部が他人に所属する場合に買主の期待どおりに引渡しがなされず不足部分があるときは、売主に対し完全な履行を請求すべきであり、いきなり解除できないと解され、履行のないとき、足りない部分の割合に応じて代金額の滅額変更となります。滅額された範囲において契約は解除されたものと解されます。売主が売買代金をすでに受領している場合は、減額部分について返還を求めることになります。残有部分だけでは契約を締結した目的が達せられないときは、契約を解除することができます。買主が善意のときは滅額請求、契約解除の場合いずれも損害賠償を求めることができます。悪意の場合は目的物の一部がかかる欠陥を承知のうえ、危険を引き受けたと考えられ損害賠償は認められません。民法五六二条二項と同趣旨になります。解除権も同じく認められません。損害賠償の範囲については説が分かれますが、信頼利益とするのが通説です。例えば他人の所有地に及んで建物を建築した場合に、その賃借のために要した経費や建物の変更した場合の増加費用などが考えられます。
代金滅額請求権、解除権、損害賠償請求権の行使は目的物の全部が他人の物の売買であったときと異なり、期限の制限があり、買主が善意のときは事実を知りたる時より一年、悪意の場合は契約締結の時より一年内に行便する必要があります。この期間の性質については争いがあり、その期間が除斥期間とするか、時効期間とするかで、除斥期間と解すれば、裁判上であろうと裁判外であろうと行使すればこれらの権利は時効の進行を始めます。時効期間は10年であるために、その期間内であれば訴えを提起できることになります。それでは売主はきわめて不安定な地位に長期間おかれることになるので、解除権の行使などで発生する諸権利もこの一年内に制限されるとする見解と、消滅時効であるが権利行使などによって発生する権利もともに一年の消滅時効にかかるという見解があります。

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