行政法規の利用制限

私人の所有する土地であっても、公益的見地から行政法規によって種々の利用制限が課されていることが少なくありません。このような行政法規による土地の利用制限には、都市計画区域内の土地について適用される利用制限と、それとはかかわりなく適用される利用制限があります。都市計画区域内の土地についての利用割限は市街化区域、市街化調整区域による利用制限、面区域内の土地について、一定規模以上の開発行為をするには都道府県知事の許可が必要です。用途地域、地区制による利用制限、これは土地の利用区分に応じて建築物の規制をし、土地の合埋的利用をはかるものです。用途地域は、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地或、工業地域、工業専用地域の八地域に分けられます。その他の地城地区のおもなものとして、持別用途地区高度地区、高度利用地区、特定街区、防火地域、準防火地域、美観地区、風致地区などがあります。用途地或については、それぞれ建築できる建築物の種類、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(容積率)、建築面積の敷地面積に対する割合(建ぺい率)、建築物の高さなどが制限されているまた、高度地区については建築物の高さが、高度利用地区については建築物の容積率と建ぺい率が、特定街区については建築物の容積率、高さ、構造が、防火地域、準防火地域については建築物の種類、構造がそれぞれ制限されています。特別用途地区、美観地区、風致地区については、建築物の建築禁止や制限は、都道府県の条例で定めることになっています。

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都市計画施設の区或および市街地開発事業の施行区域による利用制限道路として、公園、緑地、広場、官公庁施設などの都市施設の建設予定地及び土地区画整理事業、工業団地造成事業、市街地再開発事業などの施行地区については、都市計画決定の段階及び都市計画事業の認可の段階で、それぞれ建築物の建築や宅地造成などの土地の形質の変更が制限されています。その他の土地利用制限として都市計画区域内の士地であるかどうかにかかわりなく森林の保全、自然や文化財の保護、公物の管理、災害防止等のために土地の利用制限がなされています。そのおもな地域地区として、森林自然公園文化財、史跡、名勝、天然記念物、道路、河川、港湾、飛行場周辺地域、電波伝搬障害防止区域、海岸保全区域、砂防指定地、地すべり防止地域、工業用用水地域などがあります。
行政法現による土地の利用制限は多種多様であるために、利用割限のあることを熟知しないで土地を買う事態が生じやすく。建物を建築する目的で土地を買ったところが、その土地は行政法現により建築が禁止あるいは大幅に制限されていた場合などは、買主は不側の損害を被ることになります。このように買主が行政法現による利用制限のあることを知らずに土地を買った場合に、裁判例は民法五七〇条の「売買ノ目的物二隠レタル暇疵アリタルトキ」に該当するとして、売主の暇疵担保責任を認めます。買主は民法五七○条にもとづき、売主に対して買い受けた土地に利用制限があることによって被った損害の賠償請求をすることができ、さらに利用制限があるために契約をした目的を達することができない場合は、契約を解除することができます。隠れた暇疵について、買主が契約締結当時これを知っていた場合はもとより、ある程度の注意をすればこれを知りえた場合は、売主は担保責任を逃れることができます。その主張立証責任は売主にありますが行政法現による利用制眼のうちでも、たとえば建築基準法による建築物の建ぺい率、容積率、高さなどの制限のように、一般に広く知られた土地の利用制限のあることを買主が知らずに買い受けた場合は、暇疵を知らないことについて買主に過失があるとして売主が担保責任を免れることが多くなります。売主が行政法規による利用制限のある土地について、これを故意に隠して、買主に対し利用制限のない土地を装って売却したときは、買主は、民法九六条にもとづき、契約を取り消して支払済みの代金の返還を求めることができます。
裁判例では、契約の要素に錯誤があって無効であるときは、民法五七○条の瑕疵担保の規定の適用は排除されるとしています。したがって、買主が行政法規による利用制限のある土地を、これがないものと誤信して売買契約をした場合に、誤信がなかったならば誰もが契約を締結しなかったであろうと推測させる事情のあるときは、買主は、民法九五条により売買契約の無効を主張することができます。

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