契約解除と相手方との関係

契約解除の場合での相手方との関係では、法定解除の場合についていえば、原状回復義務と損害賠償請求権が間題になります。解除の効果について、日本の判例や通説では、解除の直接の効果は、契約の遡及的消滅であり、まだ履行されてない債務は履行を免れ、すでに履行されたものは、それぞれ返還請求権を生じるとしています。務契約を解除すれば、各当事者は、相手方を契約前の状態に戻す義務を負います。例えば売買代金を受け取ったものは返さなければならないし、土地の引渡しをうけたものは、これを引き渡さなければなりません。これを原状回復義務といいます。

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解除により、すでに履行した債務は法律上の原因を欠く受領となる点で、不当利得返還義務です。ただ返還義務の範囲が、解除の目的に適合するように、原状回復義務にまで拡大されます。原状回復義務の性質が、不当利得の返還義務だとすれば、本来の債権とは別個の債権となります。しかし両者の関係は、各場合によって決定しなければなりません。原状回復義務の消減時効は、解除の時から進行します。しかし解除された契約が商行為であれば、原状回復義務も商事性を帯び、特定物の売買における買主の保証人は、代金について売主のための保証人は、原則として原状回復義務についてもそれぞれ保証しなければなりません。
解除した債権者が、すでに物を給付した場合。現物が存在すれば、その物の返還を請求できます。その物が債務者のもとにおいて、滅失、毀損した場合には、原則として、解除当時の価格で返還すべきです。給付を受けた物から生じた利益があれば、返還しなげればなりません。目的物を利用したときは、その使用利益を返還しなければなりません。債務者が、その物について、必要費を支出したときは、その全額を、有益費を支出したときには、債権者の選択により、その額、または、その増加額を債権者において債還すべきです。債務者のうけた金銭には、受領の時から利息を付けて返還しなければなりません。解除権を行使した債権者が、解除前に一部の履行をうけていた場合それを返還すべきことは当然です。すでに履行により給付された目的物が、債権者のもとで、滅失、毀損した場合の返還義務は、前記と同様です。滅失、毀損が、その者の責めに帰すべき事由によって生じたときは、解除権を失うために解除の間題は生じません。また債権者が代金の一部を受領したのち、解除権を行使した場合には、受領の時から利息を付して返還することを要します。
解除により所有権が復帰する場合は、すでになされた登記の抹消など、原状回復に必要な行為をなすべきです。解除により原状に回復して、なお損害が残る場合であっても、損害賠償請求権自体も消滅するとすれば、相手方の債務不履行によって被った損害を償うにたりない場合が多く、不公平なために民法五四五条三項は、その損害の賠償を請求することを認めています。
損害賠償請求権の牲質は、債権者を保護するために、解除の遡及効を制限し、債務不履行による損害賠償請求権を、存続させるものです。債務不履行による損害賠償なので、一般原則の相当因果関係にたつ損害の賠償で、その債務不履行により通常生ずべぎ損害を原則としますが、特別事情により生じた損害を、当事者が予見できたと認められる場合には、その賠償を請求することができます。転売利益の賠償等は、売主がこの事情を知り、また知りえたであろう時に認められます。通常は履行にかわる賠償額から、解除した者が、債務を免れ、または給付したものの返還を受けることによって得る利益を差引した額になります。この残余金額については、損害賠償の支払いの催告が相手方に到達した日から遅延利息を生じます。
履行期と解徐時と損害賠償請求時との三つの時期において、目的物の価格に変動がある場合は、原則として解除時の価格を基準とします。しかし解除した買主がこれを他に転売する契約をしていた場合には転売価格により、解除後に売主が値下がりした値格で目的物を売却し、買主が値上がりした価格で目的物を他より買い入れたような場合には、その事情が取引界の常道に反しないかぎり、実際の値段によります。売主が目的物を不法に処分して債権を履行不能にした場合には、原則として、不能時の価格によりますが、不能時に価格が高騰しつつあることを売主が知りえた時は、現在の時価によります。しかし買主が履行を受けたと仮定し、現在の時価に達しないうちに処分したであろうと予測される時は、現在の時価になりません。一旦高騰してさらに下落した場合に、その高騰時の価格によるには、この高騰価格による利益を、買主が確実に取得したであろうことの予見可能性を立証した場合にのみ認められるます。
両当事者が解除の結果として負担する原状回復、または、損害賠償の義務は公平の観点より、同時履行の関係にたちます。

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