合意解除と第三者

合意解除は解除契約ともいわれるように契約であるために、その効果は契約の内容によって規定されますが、一般には契約がなされなかったのと同一の法律効果を発生させるものであるために、合意解除された契約から生じた法律効果は遡及的に消滅するものとして、直接効果説による解除の場合と同視されています。しかし契約の効力は第三者に影響を及ぽさないのを原則とするために、合意解除の遡及効は、法定解除や約定解除の場合と異なり、第三者の権利を害しないとされています。例えば更改契約を合意解除しても、更改契約の当事者として更改により免責をうけた旧債務者には効力が及ばず、債権者と連帯保証人との間の相殺契約で債務を消滅させた後にその相殺契約を合意解除しても、解除契約に関係のない債務者に対する債権は復活しません。しかし不動産が転々譲渡され登記未了のうちに元の売買が解除された場合には間題があり、また、不動産の賃貸借契約が合意解除された場合には、遡及効はなく、賃貸借関係は将来に向かって消滅しますが、一旦成立した賃貸借関係をめぐって生じた開係者の利益は保護すべきではないかという間題があります。
不動産が甲から乙、さらに丙へと転転売買されたが、登記はまだ甲に残されているうちに、甲乙間で合意解除されたという事案について、丙の登記取得がないのは甲が乙への登記移転をしなかったことによるものであるために、甲は丙に対し登記の欠損を主張する正当の利益を有しないとした裁判例もありますが、登記のない丙は甲に所有権取得を対抗できないとし、最判昭和33年6月1日も、遡及的合意解除の場合においても、法定解除の場合と同様、第三者の権利を害し得ないが、その第三者の権利は民法一七七条の例外をなすものではないために、不動産の所有権については登記を経ていることが必要であり、未登記の場合には第三者として保護されず、前記のような場合、乙から丙及び甲に二重譲渡され、後の取得者甲について先に取得登記がなされたのと同様の関係となるために、甲は解除によって取得した所有権を丙に対抗でき、丙は、合意解除が信義則に反する等特段の事情がない限り、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記を請求することはできない旨判示しています。また立木売買の合意解除につき、特段の合意がないかぎり、遡及的効力があり、民法五四五条一項但書の場合と同じく合意解除によって第三者の権利を害することはありえませんが、合意解除前に生じた転買人も対抗要件を具備しなければ第三者として保護されないとした判決もありました。

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