農地を宅地転用

農地を農地以外のものに転用する目的で買ったり借りたりする場合には、その農地の所有者と買受人もしくは借受人との間の売買または賃貸借についての契約の他に、農地法による農地転用の許可を受けなければなりません。つまり当事者の契約だけでは目的が達成されず、行政庁の許可という行為が追加されて売買または賃貸借の効力が生ずるわけです。
農地法による農地転用許可には、農地の所有者や耕作者がその所有農地や耕作農地を自ら住宅地、工場用地に転用する場合に受ける農地法四条の許可、農地や採草放牧地を住宅地、工場用地などに転用する目的で売買、賃貸借などをしようとする場合に受ける農地法五条の許可があります。農地法五条の許可については、所有権を移転し、賃借権もしくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、もしくは移転する農地の面積が2ヘクタール以下の場合または採草放牧地のみの場合は知事の、2ヘクタールを超える場合またはその農地とあわせ採草放牧地を転用する場合には農林大臣の許可を受けなければなりません。

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許可を受けようとする場合には、農地法所定の許可申請書に、売買または賃貸借契約の当事者が記名押印し、知事の許可にあっては農業委員会を経由して知事に、農林大臣の許可にあっては知事を経由して農林大臣に提出します。許可申請書の提出を受けた農業委員会または知事は、その申請書に意見書を添えて知事または農林大臣に進達しますが、この場合農業委員会は40日以内に知事に進達しなければなりません。知事または農林大巨は、許可申請書を受理した場合には、後述する農地転用許可基準などに照らして審査し許可または不許可を決定し、その許可または不許可指令書はそれぞれ経由機関である農業委員会または知事を通して申請者に交付されます。転用候補地内に2ヘクタールを超える農地が含まれるときは、土地区画整理事業が施行された地区内の農地等一定の場合を除き、転用事業計画者に対し、その許可申請に先だって事前審査の申し出をさせることとされています。この制度は転用事業者が用地の買収交渉等に入る前に転用目的及び転用候補地の選定の当否を審査し、無用な不利益を排除し、転用許可事務が円滑かつ適正に運用されることを目的として制定されたものです。申出書は農林大臣の許可に関する事務処理をする地方農政局長に正本を、その写しを県知事に提出することとされています。
農地転用の許可、不許可の審査および判断は次に掲げる基準によって運用されています。農地転用許可基準は農地転用許可に関する基本的な基準であり、前文、総用、許可方針及び一般的基準の4つの柱で構成されており、基準の内容はおおむね次のようになっています。
次に掲げる場合に該当すると認められる農地転用は、一般に許可されません。都市計画法、建築基準法、自然公園法等の法令に接触すると認められる施設の建設、国民生活上必要性の乏しい施設の建設。
農地の区分として農地をその位置、環境、自然条件により次の三種類に区分します。第一種農地=農業生産方の高い農地、集団的に存在する農地または農業公共投資対象農池、第二種農地=近い将来市街地として発展する環境にある農地及び農業公共投資の対象にならない低生産の小団地の農地、第三種農地=都市的な施設が整備された区域内にある農地及び市街地内にある農地
許可方針は許可申請農地の選定の当否の判断をするものであり、次のように区分して行なわれます。農業以外の土地利用計画との調整を了しない地域の取扱、この地域については、その調整の趣旨を尊重して農地転用の許可に関する処分を行なうこととされています。農業以外の土地利用計画との調整を了しない地域の取扱い、農地転用は第三種農地に指向させるものとし、第二種農地を対象とする農地転用は、第三種農地に立地することが困難または不適当な場合に許可されます。第一種農地の転用は、土地収用対象事業の用に供する場合、農業経営の合理化などに役立つ施設を建設する場合、農村集落の宅地の集団に接続して住宅などを建設する場合等であって、第三種または第二種農地に立地することが困難または不適当な場合に許可されます。
市街化調整区域における農地転用許可基準は、都市計画法による市街化調整区域における農地転用についての許可基準であり、一般許可基準の特例を、この区域の性格に対応して定められたものです。一般許可基準に定める事項のうち、農地区分と許可方針についての特則を定めています。優良集団農地及び土地改良事業等の実施中または完了後5年以内の農地などを甲種農地とし、それ以外の農地を乙種農地とし、これをさらに一般許可塞準により第一種、第二種、第三種農地に区分しています。甲種農地の転用は、土地取用認定告示があった事業、既存集落等で宅地の集団に接続して住宅等を建設する場合等一定の場合を除き、原則として許可されません。乙種農地の転用は、一般許可基準とほぼ同様の取扱いとなっています。
転用しようとする農地が、都市計画法にもとづく市街化区域内にあるときは、知事に転用の届出をすれば転用許可は不要になります。転用の届出をする場合には、農地法施行規則六条の二に規定されている事項等を記載した届出書を農業委員会を経由して知事に提出しなければなりません。届出書の提出を受けた知事は、それが農地法所定の要件を充足する屈出であるかどうかを審査し、受理または不受理通知書を経由機関である農業委員会を通して届出者に交付されます。市街化区域内の農地転用も、適法な届出書の提出がなされない場合は、個人間の売買または賃貸借契約などの効力が生じないことはいうまでもなく、受理通知書がないと所有権移転または賃借権設定のための登記が受理されません。

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