代物弁済予約の仮登記の不動産売買

貸金債権担保のため債権者と債務者の間で、期限までに債務を弁済しないときは債務者所有の不動産を代物弁済として債権者に給付することをあらかじめ約する代物弁済の予約は、これを法形式的にとらえれば、債権者の予約完結の意思表示により目的不動産による代物弁済が成立して債権債務は消滅し不動産の所有権は債権者に移転し、債務者は不動産の引渡し、所有権移転登記をなすべき義務を負うこととなり、さらに、所有権移転請求権保全の仮登記がなされている場合は、この仮登記に遅れて所有権の移転や抵当権の設定をうけた第三者は、債権者が仮登記を本登記にする場合は登記上利害開係を有する第三者として、いわゆる仮登記の順位保全効により本登記をするにつき承諾義務を負い、また、債務者の他の債権者らが不動産につき競売を申し立てたときは、債権者は承諾請求とともに第三者異議訴訟を起こし、その執行を排除することができることとなります。

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しかし、前記ような解釈は、代物弁済予約は債権担保のためになされることを考えれば、債権者に過剰な利得を許すこととなり、特に債権者、債務者の力関係によってははなはだ不当な結果が生じることがあり、そこで最判昭和42年11月16日を初めとする判例、学説では、このような代物弁済予約等は原則として清算型の担保契約と解すべきであるとする理論を発展させ、最高裁大法廷も昭和49年10月23日判決において、前記の判例の潮流を是認し、金銭債権担保のため締結された代物弁清予約等で仮登記を経由した、いわゆる仮登記担保権について、その内容、実行方法、後順位の差押債権者、低当権者らに対する清算金支払義務の存在、競売手続との関係等につき見解を示し、その法理を明らかにしました。そして、このような判例理論を基礎として仮登記担保契約に関する法律が制定されました。
この法律は金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてされた代物弁済の予約、停止案件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録のできるものを仮登記担保契約と呼び、この仮登記担保契約の効力等に関し待別の定めをするものでありこの法律の施行前にされた仮登記担保契約で法律施行後にその契約において土地等の所有権等を取得するものとされている日が到来するものについても適用されます。
債権者は裁判所による競売手続によることなく目的物件を取得し債権の利益を得ることができますが、債権者が予約完結の意思表示をしても直ちに代物弁済が成立し所有権移転の効果が生じる訳ではありません。債権者は意思表示の日以後に、後述する清算金の見積績をその契約の相手方である債務者または第三者に通知し、この通知が債務者等に到達した日から二か月を経過しなければ所有権移転の効力は生じません。通知には清算期間が経過する時点での不動産の見積価額とその時点での債権および債務者等が負担すべき費用で債権者が代わって負担したものの額を明らかにしなければなりません。債権者は清算期間が経過した時の不動産の価額がその時の債権等の額を超えるときは、その超える額に相当する金銭を債務者等に支払わねばならず、この支払債務と目的不動産の所有権移転登記および引渡しの債務は同時履行の関係にあります。これらに反する特約で清算期間経過前にした債務者等に不利なものは無効とされます。債権者は清算金が先に通知した見積額より低いことを主張できない債務者等は清算金支払債務の弁済を受けるまでは債権等の額に相当する金銭を債権者に提供して目的不動産の所有権を受け戻すことができます。ただし清算期間が経過した時から5年を経過し、または第三者が所有権を収得したときは受け戻しできません。大法廷判決にあっては買主にも清算金支払請求権及び受戻権が認められていましたが、仮担法では認めていないわけです。債権者はこの清算金支払債務の弁済後の申立てに基づく強制競売等の開始決定については、所有権の取得をもって差押債権者に対抗できます。つまり第三者異議の訴えまたは執行異議により強制競売等を排斥できます。
債権者の仮登記後に登記をうけた後順位抵当権者らは債務者等が支払いをうけるべき清算金に対し払渡し前に差押えして物上代位をすることができます。清算期間中の清算金支払いはこれらの者に対し対抗できず、債務者等は債権を譲渡することができません。後順位抵当権者らは清算金の見積額に不満があるときは競売の申立てをし、競売手続によることとなります。

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