未払代金を登記している不動産の売買

不動産を売買するとその代金と利息につき、当該不動産の上に売主のために先取特権が生じます。先取特権とは特殊の債権につき法律によって特別に規定された担保権であって、当事者間になんらの約定がなくても当然に生じるものです。不動産売買の先取特権が認められたのは、不動産の売買の代金額が多額になるためと、買主の一般債権者の担保となるべき財産の増加に協力した売主の立場を保護するという公平の観念によります。
不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に未た代価又は其利息の弁済あらざる旨を登記すると、買主からその不動産を取得した第三者にも対抗することができます。第三者に警告しその不測の損害を予防し、後日売主、買主が通謀して虚偽の登記をなすのを防ぐためです。先取特権は買主に所有権が移転して始めて間題になるものであるために売買契約と同時にとは所有権移転登記と同時にという意味です。
先取特権の中心的効力は優先弁済権で、他の債権者らによって目的物が競売されるときは先取特権は消滅しますが、先取特権者はその順位に従って優先弁済をうけます。不動産売買の先取特権は不動産の上の先取特権のうち最後順位ですが共益費用を除く一般の先取特権には優先し、抵当権、質権とはその登記の前後によって優先順位が決せられます。
債務者が被担保債権について債務不履行に陥ったときは、先取特権者自身競売を申立て、その売得金から優先弁済をうけられます。債権の全額の弁済をうけるまでは目的物全部を競売に付することができます。競売を申立てるときは転買人に対し先取特権実行の通知をしなければならない不動産が競落されたときは転買人は所有権を失いますが、目的不動産につき必要費、有益費を出捐していたときは最先順位で民法一九六条に従ってその償還をうけ、また各債権者らに配当された後余剰があればこれを取得します。
被担保債権の範囲は売買の代金および利息のみであり売買の費用、違約金等は含まれません。利息については、最後の二年分についてのみ優先弁済権がありますが、転買人に対する関係ではこの制限はないと解されています。
目的物の範囲では占有を伴わない担保たる抵当権の規定が準用されるので、先取特権の効力は目的不動産に附加して之と一体を成したる物に、また競売開始に伴う差押後の利益におよびます。目的物が売却、賃貸されたときはその代金、賃料の上に、目的物が滅失、毀損したときはその保検金、損害賠償請求権にも効力がおよびますが、先取特権者はこれらの払渡し、引渡し前にこれを差押しなくてはなりません。
転買人の権利として前述のように抵当権の規定が準用されています。したがって転買人の権利はほぼ抵当物件の第三取得者と同様に考えればよく、つまり転買人は目的不動産に対して競売が開始されるまで自由にこれを使用、取益、処分でき、さらに次の権利を持つ事になります。
弁済 転買人は利害関係を有する第三者として買主の意思に反しても、先取特権者に対して被担保債権を弁済し先取特権を消滅させることができます。
代価弁済 転買人は先取特権者の請求に応じてこれにその代価を弁済すれば先取特権は転買人のために消滅します、弁済の場合と異なり売主に支払う代価が被担保債権に満たなくてもかまいません。転買人は買主に対する代金債務を免れ、買主はこの範囲で売主に対する債務を免れます。
滌除 転買人は目的不動産をみずから評価しこれを売主に支払いまたは供託して先取特権を消滅させることができます。

スポンサーリンク

不動産

農地を宅地転用/ 宅地造成/ 建築に関する規制/ マンションの区分と所有/ 借地上のマンションと敷地の権利/ 住宅ローンの概要/ 住宅ローンの非提携ローン/ 住宅ローンの提携ローン/ ローン残金のある不動産の売買/ 借地権付土地建物の売買/ 借地権付土地建物の売主の責任/ 借地権借家権の土地建物の評価/ 間借人による借家の買取り/ 抵当権付借家の敷地の買取り/ 借地人の借地上建物の売買/ 借家権付建物の売買の家賃/ 抵当不動産の買主と抵当権者/ 抵当不動産売買の抵当権者の規定/ 根抵当不動産の売買と根抵当権者/ 譲渡担保不動産の売買/ 代物弁済予約の仮登記の不動産売買/ 買戻約款付不動産/ 売買予約仮登記の不動産売買/ 不動産売買における所有権留保/ 未払代金を登記している不動産の売買/ 区画整理での仮換地の売買/ 訴訟中の不動産の売買/ 道路予定地の売買/ 仮処分中の不動産の売買/ 仮差押中の不動産の売買/ 差押中の不動産の売買/ 規制区域に所在する土地の売買/