規制区域に所在する土地の売買

規制区域内では、土地取引をしようとする当事者は、市町村長を経由して都道府県知事に対し許可申請を行ない、その許可を受けなければならないこととされており、許可をうけない取引については、効力を生じない旨規定されています。
国土利用法一四条一項の規定により、規制区域に所在する土地について都道府県知事の許可を要する取引は、土地売買等の契約に該当する取引に限ることとされており、具体的には、土地に関する所有権もしくは地上権その他の政令で定める使用および収益を目的とする権利またはこれらの権利の取得を目的とする権利の移転または設定であることと、これらの権利の移転または設定が対価の授受を伴うものであること。これらの権利の移転または設定が契約により行なわれるものであること、の三つの要件を全て満たすものとされています。
土地に関する権利の移転または設定は、第一の要件である土地に関する権利としては、法律で定められた所有権のほかに政令では土地に関する地上権と賃借権が定められています。また、これ等の権利の取得を目的とする権利とは、所有権、地上権または賃借権の移転または設定を請求できる民法上の予約完結権、買戻権等を意味しますが、農地法五条の許可を停止条件とする農地の所有権等の移転請求権もこれに含まれることとなります。
第二の要件としては対価の授受を伴うものであることを必要とします。したがって、贈与については許可が不要です。なお、ここにいう対価とは金銭に換算できる経済的価値を広く含むものであり、代物弁済、譲渡担保についてもその法形式に着目して許可が必要とされています。また、地上権または賃借権の移転または設定の対価とは、権利金その他名目のいかんを問わず権利の設定等に伴う一時金相当額として支払われるものをいい、月々の地代あるいは賃料は対備には含まないものとして取り扱われています。
第三の要件として契約による権利の移転または設定であることを必要とします。したがって、予約完結権、買戻権等の行使による場合など、いわゆる形成権の行使として一方的な意思表示により法律上の効力を生じる場合には許可は不要です。また、相続、遺産の分割、時効による権利の移転についても同様許可は不要です。
前記の三つの要件を充足する場合であっても政策的理由から創設的に、または要件を充足するか否か解釈上疑義を生じやすいことから確認的に、許可を必要としない場合として、民事訴訟法による和解、家事審判法による調停、強制執行、担保権の実行としての競売等が政令で規定されています。
国土利用法一四条は、予約を含め、土地に関する権利の移転または設定をする契約を締結しようとする場合には、当事者は、都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、許可を受けないで締結した土地売買等の契約は、その効力を生じない旨規定しています。このような規定の仕方は同じく農地売買の効力を知事の許可にかかわらしめた農地法三条、五条とは明らかに異なっています。農地の場合には、農地の売買契約のうち権利の設定または移転の効力の発生のみが知事の許可にかかわらしめられ、契約のその他の部分については有効に成立すると解されるのに対し、規制区域内における土地売買等の契約については契約そのものの成立が否定されているわけです。予約または、これらの権利の取得を目的とする権利を含めて許可にかかわらしめた趣旨も同様であって、法の越旨は当該土地取引について都道府県知事の判断が下されるまでは、当事者間を法律的に白紙の状態にしておくことにあるものと思われます。しかし一方で、法は両当事者が予定対価の額等を記載した書面を提出して許可を申請しなければならないと規定しているために、当該土地取引について実質的にみて当事者間になんらかの合意が存在することは否定できません。このような見地から国土利用法にいう予約とは、当該土地取引について当事者を法的に拘束する債権債務関係を発生させる強い合意とし、そのような効果意思の有無は当該取引に関する金銭の授受等をもって判断することとしています。

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